奈良県奈良市 小児歯科・一般・矯正・審美・インプラント・無痛治療の林小児歯科

ガムは噛む練習になりますか

噛むことの発達は、離乳食の段階を考慮した食物選択が最も重要です。

 

昔は、離乳食を栄養価で選んだ教科書や育児書しかありませんでした。ところが15年ほど前から、「噛まない子、噛めない子」という問題が話題となり、乳幼児の咀嚼の発達が研究されるようになりました。その研究の成果が生かされて、離乳食は、その形状で段階的に選ぶのが、ポイントであることがわかってきました。舌でつぶせる性状の物から始まり、歯ぐきでつぶせるものになり、やがて歯で噛む性状へと移っていきます。哺乳の動きでは、舌は前後運動のみです。離乳のはじめにはこの動きで、液体だけでなく、ペースト状のものも咽喉に送り込めるようになります。これが、横への動きになり、歯ぐきで食べ物をつぶして、舌でまとめ、また歯ぐきの上へ送り出すという複雑な動きが次第に獲得されてきます。ですから、食べ物は咀嚼の発達のための、大切な「教科書」なのです。

 

ガムはどうでしょう?最初から板状になっていて、やみくもに上から押さえつけるだけで軟らかい粘りをもったかたまりになります。舌でまとめてかみ合わせに送る動きは獲得されません。それどころか、ずっと片側のかみ合わせにへばりついているので、左右の奥歯を均等に使うことが学習されず、つい、きき顎での片側噛み(偏咀嚼)になってしまいます。ひどい場合は、左右の顎の成長に差が出て顔の形がゆがんでしまう危険性さえあります。

 

「かたいものを噛みなさい」と言われたことはありませんか?かたいもの、と言われて早速、チョコレートをたくさん買ってきたお母さんが実在します。かたいものはバリッと強い力だけ入れたら砕けます。これではあまり噛む練習には使えません。日常、軟らかい食べ物に偏っていないかを見直すほうが大切です。

 

かたいものよりも一口を何回噛んでいるか、が重要です。お子さんが、口へ入れてから飲み込むまでに何回噛んだか、観察してみてください。M社のハンバーガーで街頭調査した結果、ほとんどが3口程度で8口以上噛んだ子はゼロでした。最近、「ファーストフード」に対して「スローフード」という言葉が台頭してきています。一口をよく噛んで、楽しんで下さい。噛めば噛むほど、味が出る食べ物を選ぶと、回数多く噛むモチベーションになります。ガムは逆に噛めば噛むほどスカスカになってつまらないですね。

  • 2017/03/17
  • 歯ならび