奈良県奈良市 小児歯科・一般・矯正・審美・インプラント・無痛治療の林小児歯科

キシリトール入りなら、いくら食べても大丈夫?

キシリトールはムシ歯にならない甘味料として、1995年に日本での食品添加使用が認可されました。フィンランドの重要な輸出品だそうで、国をあげての売り込みがあったことを記憶しています。キシリトールは他の代用糖と違い、ミュータンスの代謝に影響力を持ち、ミュータンスの増殖を抑えるところにあると言われています。一方、他の代用糖と、ムシ歯抑制効果は同等とも言われています。いずれにせよ、確かにムシ歯予防効果はあります。しかし、キシリトールだから、ほかのお菓子と違ってどんどん食べても良いとか、ムシ歯予防のために積極的に食べましょうという意見には、疑問を感じます。

 

1つ目の問題点は、「甘いもの好き」の生活パターンになってしまう、ということです。
林小児歯科では、代用糖類は、ムシ歯予防の「裏口入学」だ、と指導しています。低年齢で、甘味習慣が強ければ、その時期をキシリトールでごまかしても、勝手に買い食いするころには、子どもはキャラクターやおまけにつられて、砂糖菓子を選び、そのツケがまわってくるよ、というわけです。まして、「歯磨きのあとにはガムを噛まないと気がすまない人間」が増えるなんて考えただけでもゾッとします。

 

2つ目は、全身の健康との関係です。
歯に良い生活を目指せば、そのまま健康生活となり、食生活パターンや嗜好が、将来の全身の健康をつくるものと矛盾しないことが大切だと思います。もしかしたら、ムシ歯ができるというのは、全身の健康を見直しなさい、という神様からの警告かもしれませんよ。

 

3つ目は、考えすぎかもしれませんが、もし、砂糖をやめてキシリトールしか食べない場合は、それに適応した、キシリトールでもムシ歯を作れる、世代交代した細菌たちが台頭してくるのではないか、ということです。今は、砂糖がふんだんにあるので、それをエネルギーにしていますが、菌の棲む環境が変わったら、キシリトールで生き延びようとするのではないかと。科学的な裏づけはありませんので、想像だけですが。

 

ムシ歯予防のものさしは、歯の表面の砂糖時間 です。キシリトールのおやつなら、砂糖時間ゼロと計算するのではなく、これも砂糖の入ったおやつと同じように、砂糖時間の計算に入れるようにしてください。

  • 2017/03/17
  • ムシ歯・歯周病予防