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障がいをもつ子の口の健康

障がいをもつ子の
お口について

ゴルフで障がいというと、うまい人が下手な人のために、同等にゲームできるように前もってレベルを合わせるためにつけるものです。口の大切さ、口の発達の段階、歯ならびの成り立ち、歯科医療の本当の目的、など大切なことを、障がいをもつ子ども達がたくさん指し示してくれることで、私たちは学びや気づきが得られているのです。

お口の健康の大切さ

障がいをもつ子どもにとって、口の健康はどういう意味があるでしょうか。

口は、生まれたてのときから働きをはじめます。哺乳という動作で、生命を維持しさらにお母さんと赤ちゃんをむすびつけるきずなとしてはたらきます。口は、全身の健康の取り入れぐちであり、また自分を外に向かって表出するところでもあります。
口の健康は、障がい児にとって健常児以上に大切なものであるといえます。ところが、障がい児は口の健康を保持増進するにあたって、不利な状態に置かれていることが多いのです。

  • 磨きにくい、磨かせない。
  • 食べ物が偏ったり、軟食であったり。
  • 食事に時間がかかる。
  • 生活が不規則になることも。

さらにムシ歯の治療になると、簡単ではありません。
これらを克服しつつ、口の健康をめざすことは、障がいそのものの軽減とさらには、自立への力となるといえます。

障がい児の歯磨き

運動機能の障がいの場合

口のケアの際の問題点

  • 姿勢の異常、呼吸の乱れ
  • 口の周囲や内部の過敏
  • 舌が突き出る
  • 歯ブラシをかんでしまう
  • 嘔吐反射がでやすい

磨くと緊張がきつくなる

口の周囲に過敏さがのこっている子どもでは、口の周囲や中にさわったり磨かれるといやがります。
このときは、手、腕、肩、頬というように、口からはなれた部分から、しっかり圧迫するようなさわりかたでさわり、口の中も指でマッサージしてさわられることになれるようにしてください。上の前歯は、いちばん過敏な場所ですから、最後に磨くようにしましょう。

楽な姿勢を工夫しましょう

身体の緊張がつよい、呼吸が苦しそう、舌が突き出る、咬む反射が出る、などがある子どもでは、歯磨き介助の姿勢を工夫すると、これらの症状が軽くなります。詳しくは、機能訓練等で相談してください。寝かせ磨きでは、膝、腰、背中がつっぱったり、そりかえったりしていないか注意してください。
特に嘔吐反射が出やすい子どもでは、寝かせ磨きでまくらやひざのささえを高めにすることで、あごを引いたかたちにして、あごが突きでないように少し下へ押し気味にしながら磨くと、嘔吐反射が出にくくなります。

口が開かない・歯ブラシを咬んでしまう

口があきにくい子どもでは、唇や頬の内側に指を入れて歯が見えるようにして、歯のおもてがわから磨き始めて下さい。とくに、下の臼歯のおもてがわに毛先が当たると、口が開くことがよくあります。少し開いたら、ななめに歯ブラシをたおして、かみあわせの部分も磨きましょう。
咬む反射で歯ブラシをかんでしまう子どもでは、犬歯(糸切り歯)に当たったり、臼歯のかみあわせに歯ブラシの背の部分がつよくあたらないように注意して下さい。
どうしても、口があけたままにできない場合、歯のうらがわやかみあわせを磨くためには、やむをえず反対側の臼歯になにか咬ませておこないます。このとき注意したいのは、前歯にはさまないこと、できるだけ短時間できれいにできるよう練習してもらうことなどです。材料はゴムホース、ガス管、割りばしにガーゼを巻いたものなど、なるべく固いものはさけて、やわらかめのものにするとよいでしょう。

うがいができない

透明なコップをいくつか用意し、歯ブラシを中で洗いながら磨きます。濁りがひどくなったら、次のコップでゆすぎ、最後のコップが濁らなければ、うがいと同様に汚れを洗い出せたことになります。
この汚れを子どもに見せて、これだけとれたと教えてあげてください。

歯肉から血が出る

磨くと血が出るので、磨かなかった、というのは逆効果です。歯のよごれのせいで歯肉に炎症がおこって出血するので、これを歯磨きできれいにしなければ、よけい出血したり歯肉がはれたりします。歯と歯肉のさかい目をきれいにできると、出血が止まってきます。
てんかんの薬で歯肉が増殖している場合は、ここをきれいにできると、歯肉増殖が改善しますからがんばってください。

運動機能障がい児の口のケアの意義

毎日の日課としてなかなかたいへんな歯磨きですが、歯磨きをがんばることでたくさんの利点が生まれます。

  1. 口の環境の改善
  2. 口の機能の改善
  3. 手指機能の発達
  4. 空間認知発達

口の環境の改善

唇、舌のかわりをする歯磨き

通常は、口の動きによって自然にきれいになる部分もあるのですが、唇や舌の動きが悪い場合、口蓋の部分や頬などに食べかすがたまったままになっていることがよくあります。また、口が開いたままの子どもでは歯肉に炎症がおこりやすくなり、よごれもつきやすくなるので注意が必要です。

野菜のかわりをする歯磨き

ドロドロの食べ物が主で、繊維性食品によって自然にきれいになったり、歯肉のマッサージ効果のえられる機会の少ない子どもでは、繊維性食品が歯や歯肉におよぼす効果を、ハブラシの毛先でおぎないましょう。

口の機能の改善

歯磨きは機能訓練
ハブラシは機能訓練具

口の中に過敏性が残っている子どもでは、ハブラシは食べ物になれるための適度な刺激となります。ハブラシを咬まれたり嘔吐が出やすい場合、ハブラシによって口の感覚が良くなり、これらの問題が少なくなります。
また、唇・あご・舌の動きや飲み込みかたに問題がある場合、これらの運動が良くなって食事がらくになったり、顔の表情もゆたかになったりすることもあります。

障がい児の食事

障がい児には、口の健康をそこないやすい問題点がいくつかあります。しかし、この問題にとりくんで口の健康をめざすことは、障がいの軽減と自立への道へつながっています。

運動機能の障がいでは

  • 1回の食事にかかる時間が長いこと
  • 食べ物が口に残ったままになりやすい
  • 食べ物の形が軟らかいため、自然にきれいにならず、歯肉のマッサージ効果もえられない
  • 唾液の量がすくない

口の機能が十分でないため、などの不利な点があります。
重度の子どもでは栄養が不十分な場合、強化栄養ミルクなどにたよることになります。また脱水になりやすいことから、スポーツドリンクの常用というケースもみられます。
これらはムシ歯をつくる力もたいへん強い飲物です。

口の健康がそこなわれたら、大きなマイナス

移動能力などいろいろな制約を受ける中で、食べることは生活の楽しみの大きな部分を占めています。口の病気でこれが失われるのはぜひ避けたいことです。

食物=口の機能を向上させる教科書

食べる機能はおっぱいを吸う動きのような、自然にそなわっている能力ではなく、食体験のなかで、学習して獲得される機能です。現在の口の機能によくあった食べ物を選んで、噛む練習になるように食べ物の形状を工夫して下さい。
よく噛めるようになることは、コミュニケーション能力、移動能力、バランス感覚などの向上に役立つといわれています。

知的障がいでは

偏食

生活体験の広がりに時間のかかる子どもでは、食事内容もかたよったものになりがちです。いったん菓子の味をおぼえたら異常な執着を示す場合もあり、小さいうちから注意が必要です。

食体験は、
外界への大切なとびら

食べるということは外界のものを自分の中に取り込むことです。(エリクソン)口へはいる1つ1つの食べ物は、子どもが外界を知り、うけいれる情報であるともいえます。食べられるものが増えていくに従って、生活面でも柔軟性が出てくることがよくあります。なるべくうす味で自然のものから体験させていきましょう。

不規則な食事

行動に問題のある子どもでは、食事時間が不規則になったり、ムラ食いになったりすることがあります。運動不足と重なって肥満なども併発してきます。勝手にお菓子を取り出して食べる、なども問題です。

食健康な食事、
規則的な生活

からだによい食事は、口の健康にもよい食事です。野菜などを上手にとってバランスのよい食事をしましょう。
食べる時間がきまると生活リズムができます。生活リズムをととのえていくことは、健康のためにも社会生活のためにも大切なことです。規則正しい食事を基礎として良い生活をめざすことで、口の健康も得られます。

お菓子で「調教」??

きげんの悪いとき、言うことをきかせたいとき、問題行動をおさえたいときなどに、お菓子でコントロールしようというのはやめましょう。
一時しのぎのつもりが、一生取り返しのつかないことにもなりかねません。

自制心を育てる食生活

食べたいときいつでも、いつまでも食べるのではなく、一定のルールを決めたら守るようにがんばることは、障害のあるなしにかかわらず大切なことで、子どもの社会性をはぐくむことでもあります。良い育児のなかで、口も健康に育ちます。

口の健康のための良い食事とは

  1. バランスがとれている
  2. 規則正しい時間にたべる
  3. 口の機能にあわせた形態で::できるだけ軟食にかたよらない
  4. 野菜、果物など繊維性食品をとる=歯の清掃効果、歯肉の刺激、便秘の改善、噛む練習

砂糖の入った食べ物、飲物は以下を気を付けることが大切です。

  1. 回数を多くしない(1口でも1回)
  2. 長い時間だらだら食べさせない
  3. 長い時間口に残さない
  4. 夕食のあとには食べさせない

ちょっとした工夫がポイント!

  • 外出には水筒を持っていこう(中身は水、お茶)
  • 自然のものを食べよう 旬のものを楽しんで
  • 3度の食事をしっかりと:お菓子で補充は逆効果
  • ながら食べ、あそび食べにならないように
  • 箱ごと、袋ごとはやめよう
  • 買い置きはなるべく避ける
  • 勝手に取れるところには置かない
  • その子にあった遊びを工夫して食べ物以外の楽しみを
  • 食欲が出てくるように、食べる時間、運動などを考えて