キホンのキ
林小児歯科ってどんなところ
大人も診てくれるんですか?とよくきかれます。
大人も高齢者も診ているのに、なんで小児歯科?
それは小児歯科を原点として歯科医療を行っているからです。
林小児歯科の4つの特性

理解と信頼
ぬくもりと誠実さがにじみ出る対応
リコールシステムでつながる絆
患者さんともスタッフ同士も

患者さんは最良の師
はじめに患者さんがいた
こころのアンテナをのばして
人の痛みに苦悩し人の喜びを糧とせよ

ライフサイクルを知る
時間軸が見えているか
口腔の過去を読み取り、未来を見通す
泣く子は育ち、老後は歯が支える

健康を志向する医療
予防は治療に勝る
理想を押し付けず、継続可能な健口生活
北風より太陽
林小児歯科の5つのL
私たちが医療をおこなうとき、
こころがけていること
Listening
私たちは、患者さんの話を傾聴します。
Leadership
私たちは患者さんに健康志向への行動変容を提案します。
Learning
私たちは常に患者さんから学ぶ姿勢を忘れません。
Lifecycle
私たちはライフサイクルを念頭に口の健康を考えます。
Love
私たちは愛に満ちた医療を実践します。
小児歯科って知ってますか?
大人をみないから「小児歯科」ではありません。理念があります。
小児歯科の理念は、4つあります。
4つの理念
- 理念1「理解と信頼」
-
患者さんへの理解と信頼を築くことを大切にしています。
ぬくもりと誠実さがにじみ出る対応
小児を治療し健康を育成していくためには、おどかしたり、ごまをすって、うまくいくものではありません。理解度のレベルをよく考え、信頼してもらうのが、大切です。
定期健診でつながる絆
その場しのぎや判で押したように画一なお話をしていても長期のおつきあいはできません。その時その局面にあった、生きた健康管理が必要です。 - 理念2「患者さんから学ぶ」
-
目の前にあるのは病気ではなく患者さんです。
こころのアンテナをのばしてひとりひとりの患者さんの喜びと苦悩を肌で感じるようにしたいと思っています。
はじめに患者さんがいた
入れ歯の専門、抜歯の専門、かぶせの専門、と分かれている歯科の分野で、小児歯科、障がい者歯科、高齢歯科は、患者さんのニーズに合わせて生まれてきた診療科目です。
こころのアンテナをのばして
患者さんからは色々なことを学べます。特にこども、障がいをもった患者さんはとても有能な先生です。
人の痛みに苦悩し人の喜びが糧となる
小児期に「人が喜ぶことがうれしい」という経験は前頭葉を発達させるそうです。私たちも、患者さんの苦しみと喜びをなるべく身近に感じていきたいと思っています。 - 理念3「ライフサイクルの中で」
-
現在の口の状態だけをとらえるのではなく、口の中の過去を読み取り未来を見通して、対応していきます。
時間軸が見えているか
患者さんとそのお口は変化していくものです。ついつい、歯科では今の状態だけを考えて対応してしまいがちですが、患者さんのお口を見れは、実は過去を読み取り未来を見通すことができ、泣く子は育ち老後は歯が支えると実感します。 - 理念4「健康を志向する医療」
-
病気への対応に留まるのではなく、健康を増進していけるような歯科です。
北風より太陽の予防が治療に勝る
けずってつめる、に終始していた時代には子どものむし歯への対応は困難なものと思われていました。予防こそがそれを解決するものでした。理想を押し付けず、北風より太陽のように患者さんの心にのこる継続可能な健口生活を提案していきたいのです。
こどもの時代の健やかな成長発育

林小児歯科の標語は「健康な口は最高の贈り物」です。
成人では、「健康な口は一生の宝物」としています。一生自分の歯をつかうためには、小児期がとても大切です。こどもと大人では、流れる時間の質がちがいます。こどもの1年はおとなの10年以上にも匹敵します三つ子の魂百までも、といいます。小児期はロケットが宇宙へ飛び立つ時にも似た重要な時期です。妊娠がわかった「マイナス1歳」から8020をめざして、こどもの口の健康を育てていきましょう。
みんな乳歯のおかげで大きくなった。
乳歯が全部抜けるまでにあなたの身体も精神も、ずいぶん成長発育したのです。
体重0.3Kg、身長40㎝で産まれたあかちゃんは、1歳、小学校1年生、中学生で、いったい何倍に成長するか、おわかりですね。
子どもの時期はとても大切
こどもとおとなでは流れる時間が違う
- アゴの成長は、おっぱいの飲み方で違いが出ます。抱っこのしかたでも違います。
- 食物への適応、好き嫌い、味覚の形成は乳児期~幼児期が重要な時期です。
- 腸内細菌の種類は、3歳までにきまります。
- 言葉もたくさん覚えますね。
- 運動機能の発達もめざましいものがあります。歩行は7歳で大人と同等になり、走るなどの粗大運動は7~10歳で安定性が向上します。
- 感情が快/不快が中心だったのが、12歳ではすでに社会的ルールを理解して感情のコントロールができるまでになります。
この大切な時期に、お口の健康をめざすことが基礎となって、一生のからだとこころの健康につながってほしいと、私たちは願っています。
子どものムシ歯は風林火山

こどものムシ歯は大人より進むのが早いのをご存じですか?
こどものムシ歯(乳歯と、はえたばかりの永久歯)の特徴は4つあります。
【風】はやきこと風のごとし

えっつ?このまえ学校検診でムシ歯なしだったのに、もう穴があいてる!できるのが早く、小さい穴だと思っている間に、大きな穴になってしまいます。
【林】しずかなること林のごとし

こんな穴あいてるのに、痛くないの?
痛みを感じることなく進むことがよくあり、痛み出してもわずかな期間でしんけいが死んでしまい、痛みを感じなくなってやがて腫れてきて気がつく、などい症状が保護者の方にわからないことがよくあります。
【火】侵略すること火のごとし

1本だと思っている間に、隣の歯も上下左右の同じ名前の歯も、と火が広がるように増えていきます。
【山】動かざること山のごとし

ムシ歯をを取り除くのは、かんたんではありません。「つめてもつめてもまたムシ歯になってしまう。いっそ抜いてしまえ」それでも、あとからはえてきた永久歯でお何ような場所にまたできてしまいます。
こどものムシ歯は「削ってつめる」で、治っていないのです。こどものムシ歯には、小児歯科のアプローチが必要です。
たくさん削らない「MI治療」

けずっちゃダメ!!
小さい穴なのに、こんなに削るの?
一般的なムシ歯の治療は、小さなムシ歯でも、一定の形まで削ります。
それは、以下の理由からです。
- 取れにくくするため
- こわれにくくするため
- あいた穴の周辺もムシ歯のなりそうだから
- かたどりする場合は、まっすぐはめなければならないから
でも、こどものムシ歯は風林火山。
けずってつめた境界線がふえるほど、またそこからムシ歯ができてしまいます。
繰り返された過ち…
乳歯の臼歯に虫歯
乳歯は残根に。永久歯に虫歯。
だから削っちゃダメ!歯質を減らさない!
子どもの時期の乳歯とはえたての永久歯はムシ歯が進むスピードが速いので、通常の削り方ではつめものの境界線からまたムシ歯ができます。境界線が増えるほどあぶない部分がふえるので、削らないのが一番。健全な歯質をできるだけ残して悪いところを除去します。つめものは小さくなるので弱いですが、定期健診で見守ることで通常の範囲を削ったよりも歯が残せるのです。
今はこの考えはMI(ミニマムインターベンション)という名前がついてその取り組みがだんだん認められてきました。
小児歯科では、大きく削りません。
極力悪いところだけをとりのぞいて、歯を温存します。
MI(ミニマムインターベンション)という言葉がうまれるよりずっと以前から、林小児歯科では良い歯の部分を削らない治療をしてきました。
これを実現するためのカギは、定期健診です。つめものは弱いけれど、定期的にみていくことで歯を削らずに維持していくことが大切なのです。
- 歯みがきは、こどものムシ歯予防の主力ではない
-
意外に思われるかもしれませんが、歯みがきの上手下手とムシ歯の発生は、臨床的には関係しません。
何人もの、小児歯科の臨床を何十年やってきたという先生方が、共通してそう思っています。
歯みがきがムダだというのではありません。ついでに言うと、「歯の強い・弱い」も関係ありません。
もっともっと、ムシ歯の発生に影響するものがあるのです。
それは、どんなものを、どんなふうに食べたか、という食生活です。
砂糖の入った食品の食べ方が一番大きなカギです。次いで、3度の食事をちゃんと食べているか。そして、良く噛める、唾液が良く出る、食べるだけで歯を清掃してくれるなどの歯に良い食品の選択です。歯周病も、歯に良い食品と規則正しい生活は大切です。
対症療法と原因療法
病気に対応するには、この二つを組み合わせます。
| 例 | 対症療法 | 原因療法 |
|---|---|---|
| 熱がある | 解熱剤 | ウイルス感染症かな? |
| 下痢している | 下痢止め | 食中毒かな、どの細菌かな? |
| 痛い | 痛み止め | どこかの炎症か? |
原因を考えて、対応方法を選びます。
歯科はどうでしょう?
| 対症療法 | 原因療法 | |
|---|---|---|
| 穴が開いている | 削ってつめよう | ・・・ |
| 腫れている | ウミを出そう | ・・・ |
| 痛い | 神経を抜こう | ・・・ |

あれれ?原因療法がありませんでした。
「なぜそうなったのか?」を考え、対処するのが小児歯科のアプローチです。
ムシ歯予防の大切な尺度=歯の表面の砂糖時間
「歯の表面の砂糖時間」はムシ歯予防の重要な「ものさし」です。ムシ歯のできかた、すすみかたと、歯の表面の砂糖時間とは、とても関係が深いものです。
砂糖の入ったおやつを、食べるのにかかった時間に20分を足して、1日の食べた回数をかけた時間の長さ。つまり1日にどれだけの時間、歯の表面が砂糖でよごれていたかを考えるものです。林小児歯科では、これを基礎として、家庭でできる、楽なムシ歯予防をすすめています。
(平均20分)
砂糖時間の上手な減らし方
回数をへらす
まとめて1回にしっかり食べましょう。一口でも1回です。
食べている時間をへらす
箱や袋ごと持たせていませんか? 時間帯と場所を決めましょう。
残っている時間をへらす
歯磨きができなくてもせめてブクブクうがいを。お出かけには水筒を忘れずに。
組み合わせを考える
砂糖のおやつのあとで、果物、野菜、ナッツなど。
「歯の表面の砂糖時間」を知ってムシ歯を予防!

ムシ歯予防の大切なものさし = 歯の表面の砂糖時間
ムシ歯のできかた、すすみかたと、歯の表面の砂糖時間とは、とても関係が深いものです。
砂糖の入ったおやつを、食べるのにかかった時間に20分を足して、1日の食べた回数をかけた時間の長さ。つまり1日にどれだけの時間、歯の表面が砂糖でよごれていたかを考えるものです。これを基礎とすれば、家庭でできる、楽なムシ歯予防が実行できます。

たとえば、チョコレートを1箱全部、3時に食べた子と1粒ずつ3回に分けて食べた子では、どちらが「ムシ歯になりやすいか、砂糖時間を見てみましょう。
歯みがきで頑張ろうとしても、3人も子どもがいたら3倍大変ですね。でも砂糖時間を考えて食事に気をつければ、3人同時に効果があります。「小児期に歯周病菌の定着を防ぐこと」は小児歯科の大きな使命です。
泣く子も笑うはじめての口腔ケア
楽しい歯みがき

歯ブラシのえらびかた
歯ブラシは「二刀流」
本人用と仕上げ用を分けましょう。
じぶんでみがく歯ブラシ
柄の部分:短く、太目で曲がっていないもの
毛:横幅が大きめのほうが安定します。
仕上げ磨き用

前歯2本分くらいのコンパクトなヘッド
細かく動かしやすい柄

みがいてあげる姿勢
しっかり口の中が見える姿勢にします。
子どももお母さん、お父さんも楽な姿勢で行いましょう。

歯ブラシのもちかた
仕上げ磨きはえんぴつを持つようにします。

歯ブラシの当てかた、動かしかた
歯に45度の角度であてて
ゴシゴシ細かく動かします。

よごれがわかる
透明なコップを2つ以上用意して、歯ブラシを洗いながらみがきましょう。
「こんなにとれたよ」と見せてあげてください。

歯と歯のあいだはコレが楽
歯ブラシではなかなか取れない歯と歯の間
フロスを使えば、カンタンに取れます。

とりかえる目安は
約1ヶ月でとりかえましょう。
毛が曲がってくると、きれいになりません。
毛先がすりへって斜めにとがると傷が心配

いやがる時期は
小児期のムシ歯予防の中心は、食生活改善です。
歯みがきは、習慣化が重要な課題ですので、まずは「慣れる」のが大切。
きげんの良い時を、みはからって磨く回数を増やすと早く慣れるでしょう。
楽しい雰囲気、やさしいお顔、お歌や数かぞえ「キレイキレイね~」などお話しながら、仕上げ磨きをしましょう。
赤ちゃんの歯みがき
- 口の中は敏感
-
さあ磨こう・・ちょっとまって!その前に。
口の中は、あかちゃんが情報を受け取る大事なセンサー。敏感です。
いきなり、毛がならんだ歯ブラシの襲来には、びっくりしてしまう子も。
おもちゃや自分の手しゃぶり、げんこつしゃぶりは口の感覚を成熟させるのにとてもいいことです。
まだ歯がはえていないうちに、お風呂などで、お父さんお母さんの指を口に入れて、歯肉の上で少し圧をかけて動かしてください。爪は短く、指をきれいにして、遊び感覚でやってください。
- 歯みがきのスタート
-
あかちゃんに歯がはえてきたらいよいよ歯みがきのスタートですね。1歳になったころ、上の前歯が4本ならんだくらいから、歯みがきをスタートさせてください。
下の前歯をみがき、次に上の歯をみがいてください。
上の歯をみがくときは、上唇小帯という唇の中央の粘膜が引っ張られているところをハブラシでひっかけないよう、指でガードしてください。 - 歯みがきをいやがる場合
-
歯みがきをいやがると、ついつい、一日の回数がへったり、やらないで先延ばしにしがちですが、逆です。
1回の時間は短めで、一日に何回もやるほうが、早く慣れやすいです。
きげんがよいときに、あそびでシュッシュ、すぐ退散:ボクシング戦術のヒット&アウェーでやりましょう。
あそびで回数を重ねれば、歯ブラシは口に入れるもの、と次第に認めてくれやすいです。 - 中途半端はダメよ
-
歯みがきですごくあばれる場合は?まずは、痛くしていないか、動きが乱雑になっていないかなど、よく見直してください。
よごれが気になって「あそこがみがきたいな」という場面では、中途半端なおっかなびっくりでは動かれたらどこかに当たって痛くしてしまうのでいけません。
頭をひざではさんだり、ほお骨やあごをしっかり支え、口唇とほほを十分よけて、毛先がどこに当たっているか見ながらみがいてください。 - 歯磨き剤はいりません
-
あかちゃんのための歯みがきジェルなるものが、たくさんの会社から出されています。基本的には、いらないと思います。
人工物がいっぱい添加されています。泡が出るものは少ないようですが、食品由来といっても腐らないように何か加工がほどこされているでしょうし、とれたての野菜や果物と同列にはできません。
そもそも、水で歯みがきし終わった時のすがすがしさを純粋に体感してほしい時期に、変に味つけしてほしくないな、と思いませんか?
ひとりで磨けるようになるために
自分で磨くのはいつから?
- 介助と自立の間にあるもの
-
「もう小学生になったんだから、自分でみがきなさい」ちょっと待ってください。その時期に、大切な6歳臼歯がはえてきます。歯ブラシが乳歯の奥歯まで磨いて引き返していったら、6歳臼歯は汚れたままです。
「何年生になっても、『みがけてませんね』って歯医者さんでいわれるから、ずっと私が磨いてあげてます」 「???」
自転車に乗れるようになるまでのことを思い浮かべてください。お母さんの自転車にずっと乗せていても、ずっとコマつきで乗っていても、それだけでコマなしの自転車に乗れるようになるのはかんたんではありません。そうです。乗る練習をしましたね。
自分でみがけるように練習が必要です。
「みがいてあげる」と「自分でみがける」のあいだには
「みがけるようにしてあげる」のが必要なのです。 - 自分にあった歯ブラシを
-
みなさんはどんな歯ブラシをお使いですか?大きめの歯ブラシは、いっぺんにたくさん磨けて便利だなぁ?それはちがいます。家具のたくさんある部屋を掃除するとき、大きいホウキではちゃんときれいにできませんね。歯はでこぼこが多いので大きい歯ブラシでは届かないところがたくさんあるのです。また、硬さも重要です。硬すぎると歯肉を傷つけてしまうことや、歯周ポケットに触れずに済ませてしまうことがあります。お口の状態や症状にあわせて歯ブラシを処方しますので、ご相談ください。
- はえかわりの時期の歯磨き
-
はえかわりの時期の歯磨きは、いろいろ工夫が必要です。半分しかはえていない歯は、歯肉がかぶっている部分に毛先を入れて、汚れを取って下さい。はえたばかりの歯はまだ表面がムシ歯になりやすい弱い時ですので、はえたときにはすでに穴があいていたという残念な結果にならないように注意しましょう。かみ合わせの高さより低いうちは、まとめて数本ゴシゴシするような大きな動きではうまく当たりません。
しかも完全にはえ終わるまでは、食べ物をかんで自然にきれいになる効果がありません。ですから、1本だけをねらって歯列の横からも歯ブラシを入れる交叉磨き(エックス法)で、ていねいに磨いて下さい。
- 歩かないこと
-
子どもが歯磨き中に転倒して歯ブラシがのどに刺さる事故は以前から問題にされてきました。最近、東京都消防庁から報告されたデータによると、東京で2011年以降歯ブラシ事故で救急搬送された件数は200件以上、搬送にはいたらなかったが報告されたものが120件以上あったそうです。
内訳は
①歩いたり走ったりして転倒(60%)
②人や物と衝突(20%)
③椅子などから転落(12%)でした。1歳児が半数を占め、次いで、2歳が29%、3歳が13%でした。幼児に自分で歯磨きさせるときは、安全な場所で動かずに、大人が必ず目を離さないようにしましょう。ぜひ、楽しく声かけしながらやってみてください。 - 歯みがき剤は使ったほうが良いの?
-
歯磨剤の効果は茶しぶや食物油の皮膜をとることです。ムシ歯になりにくくする作用はありません。配合されているフッ素も、界面活性剤が多く含まれているほとんどの歯磨剤では効果がありません。歯磨剤の成分は、食品添加物として認められていないもので構成されています。それを、うがいがちゃんとできない年齢では、多少飲み込んでいます。洗剤のついたままのお皿に料理を盛り付けるのと同じようなものです。歯磨剤を使った場合はよくうがいするようにして下さい。
介助磨きの時、歯磨剤を使うと、泡だらけでよく歯が見えなくなります。また、早くうがいをしたくなってしまい、落ち着いて磨くことができません。
水だけで磨いた時は、本当にきれいになったとき爽快感がありますが、歯磨剤を使うと、きれいになっていなくても偽物の爽快感があって、終わってしまうことがありがちです。
水だけで磨いていると、たしかに茶しぶの着色があります。これが気になる場合は、米粒くらいの歯磨剤をつけて、磨いて下さい。つけすぎると、歯の表面をいためることになりますので、気をつけて下さい。歯科医院でも着色はとれますので、無理に金具などでとらないようにしてください。 - 電動歯ブラシにしてもいいですか?
-
電動歯ブラシはちゃんと選べば、手用歯ブラシよりきれいになります。でも、ちょっと待ってください。子どもが自分で毎日歯を磨くことは、手の動きのトレーニングに有効です。歯のいろいろな部分を工夫して磨くことで手指機能が成熟して、字が上手になったり手先が器用になるのです。ワープロは便利ですが漢字を紙に書いて覚えていくのと同じと思って、歯みがき名人になってください。
- 習慣化とトークン
-
トークンってあまり聞かない言葉かもしれませんが、「小さなごほうび」とでも言いましょうか、子どもの習慣や行動をよりよくするのに非常に有効なものです。昔、恩師が渡米中に「訳してくれ」と送ってくださったコピーにこの言葉があり、翻訳するのに苦心しました。
コインもスタンプもカレンダーの丸印も、トークンです。目標を細かく段階に分けてステップアップしていくときに、トークンを使います。成果が目に見えて分かることで行動が続けられるのです。丸印やスタンプなら、子どもと一緒につけるのを楽しみにして、いくつかたまったら、ごほうびを決めて楽しみにします。実は、矯正装置をはめる場合も、日課表をつけてきた子とつけていない子で大きく歯ならびの改善に差が出ます。
クセはくせもの
口の周辺のクセは、さまざまな問題を引き起こします
こんな癖は顎の成長や歯並びに影響があります

歯を動かすのに必要な力は、わずか2gと言われています。口唇を緊張させると200~300gの力がかかり、舌の動きがおかしいと500g以上が歯を押します。ほおづえは4000gの力がアゴを押します。
- 舌をはさむ
- 舌を歯に乗せる
- 舌が上あごについていない(低位舌)
- 口ポカン
- 口唇咬み
- 指吸い
- 頬吸い
- 頬緊張
- 片側噛み
- くいしばり
- 歯ぎしり
- タオル噛み
- ほおづえ
- うつぶせ寝
- 猫背
- ハイハイ不足
- 噛む回数不足
これらすべてが歯ならびを乱す原因になります
口ポカンと口呼吸は、歯ならびと身体の健康にとても悪いことです。
猫背や足くみ座りなどの姿勢のまちがいも、口の周囲の問題に関連します。
- 舌と歯ならび
-
良い歯ならびには、口の周りの筋肉が正しい位置にあってバランス良く働くことが必要です。そのなかでも舌は、複雑な動きをする筋肉で歯ならびに大きく関係します。舌の位置が下顎の前歯を押す位置だと受け口に、上下の前歯の間にはさむと開咬に、上顎の前歯を押していると上顎前突になる危険性があります。正しい位置は上顎前歯の少し後ろ、口蓋のしわのあるあたりです。写真で見た症例では、アフリカ人女性が感染症で頬を大きく無くして歯が露出した状態で年月が経ち、歯列が頬の無いほうへ大きくゆがんでしまったものがありました。頬の圧力が全く無く舌の圧力に歯列が押された結果と考えられています。舌、口唇、頬、顎を、正しいポジションで適切なバランスで使うようにこころがけてください。
- お口ポカンと歯ならび
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お口ポカンは、口呼吸をおこして口と身体の健康に悪い影響がありますが、歯ならびも悪くなることがあります。まず、唇の圧力がかからないので上の前歯が前に傾斜してきます。次に、お口をあいていると犬歯から小臼歯のあたりの頬が緊張するため、これらの歯が内側に押されます。この2つによって「V字型歯列弓」という変形したアーチになってきます。また、上下の歯がずっと当たらない状態のため、臼歯がのびてきてしまい、上下の前歯が噛みきれない「開咬」という不正咬合になることもあります。お口ポカンは意識してなおしましょう。
- 過蓋咬合(ディープ バイト)
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過蓋咬合は、上顎前突、反対咬合や叢生にくらべて、見過ごされやすい不正咬合です。イーのお口で下の前歯が上の歯にかくれてあまり見えない状態が過蓋咬合です。問題点は、1.アゴの関節に負担がかかりやすい。2.歯の高さが低くなり、はえきらない状態になるので、歯周ポケットが深くなりやすい。3.下あごの成長が抑制される。4.上のはぐきが笑うと目立つ。などです。小学2・3年生くらいの、下あごの成長が見込める時期に治療を開始するのが望ましい不正咬合です。下顎を後上方に引きすぎるクセは良くありません。ハイハイで土山を登るなどの外遊びをたくさん行う保育園で過蓋咬合が少ないという情報があります。
- 開咬(オープンバイト)
-
開咬というのは、前歯が咬み合わない不正咬合のことです。ものが咬み切れないことと、長期的には奥歯の負担がかかりすぎることが問題です。原因は、一番有名なのは指しゃぶりです。指のかたちに隙間があいてしまいます。おしゃぶりを歯がはえているのに長く使った場合も同様です。
学童期で多いのは、舌を上下の前歯の間にはさんでいる咬舌癖とつばを飲み込む時舌を突き出す舌突出癖です。爪や唇を咬む癖も開咬の原因になります。さらにお口をポカンと開いたままでいると、奥歯が伸びてしまって開咬になるのでこれも注意が必要です。普段から、舌を上顎の口蓋という部分につけて、つばを飲み込む時も突き出さないようにし、唇はしっかり閉じておきましょう。 - つめをかむ
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つめかみをすると歯と歯ならびに良くないのはご存知ですか?つめかみを続けていると、前歯の先端がすり減りすぎてしまいます。さらに、歯ならびにも悪影響があります。成長期につめかみをしている時間が長いと、下顎を前へ突き出すので、顎の関節の部分で下顎骨が伸びてしまい、下顎が前方へ成長しすぎることがあり、切端咬合という、爪切りの形のような不正咬合になる危険性があります。気をつけましょうね。
- 乳幼児期からの
歯ならび対策 -
「日本人の8割は歯列矯正が必要だ」と「国際人になりたければ英語力より歯を“磨け”」の著者 宮島悠旗氏は述べています。欧米では、いくら服装やスタイルに気をつかっていても、歯ならびが乱れた口元だと、自制心がないのでは?と大きなマイナスの印象をうけるようです。アゴの発育を左右する要因は、なんと生まれてすぐの哺乳動作も影響しているという研究が出てきました。おっぱいは正しい姿勢で、しっかり乳首を深くくわえさせて飲ませましょう。離乳食は栄養よりも、お口の運動が段階的に上手になっていくような形状を工夫することが大切です。
- 八重歯は可愛い??
-
8月8日は矯正歯科専門開業医の団体が制定した「歯並びの日」とのことですが、この同じ日を「八重歯の日」とした八重歯好きの一般の方によるイベントがあったそうです。世界では忌み嫌われる八重歯ですが、確かに日本だけには「八重歯が可愛い」とした時代がありました。「八重歯が可愛い」には、「若さが関係している」、「日本文化の幼児性が潜んでいる」、「未完成の美としての魅力があるのだろう」と、横浜の矯正歯科医、大野肅英先生の論文「八重歯の考現学」に述べられています。タイの首長族、下唇に皿を入れて大きく見せるエチオピアのムルシ族、中国のてん足、日本のお歯黒など、美意識には多様性があるのは確かです。とは言え、歯科医学的に犬歯には咀嚼(そしゃく)時のガイドとして働く重要な役割があり、八重歯の状態ではその役割が果たせず、また、歯磨きもしにくいことからむし歯や歯周病が懸念され、さらに転んだ時などに怪我(けが)をしやすいなどの理由から治療することをお勧めしているのです。
口腔機能の発達
口腔機能の発達に大切なこと
口の機能は獲得できて当たり前ではありません。
最近の子どもたちの口腔機能発達には、心配なことがいっぱいです。
- 発達のつまづき
-
口の機能の発達は、ひとりでにだれでも獲得できるように思ってしまいがちですが、最近子どもたちの口を見ていると、大丈夫かな?と思うケースがいろいろあります。
あまり噛まずに飲み込む、食物をお茶やお水で流し込む、ブクブク・ガラガラができない、背中がぐにゃぐにゃしている、お口がポカンとあいている・・・
どこかで口腔機能の発達につまづきがあるのです。食事のとき両足の裏をしっかり床につける、背中をのばす、など毎日の生活動作を正しくし、様々な形状の食物をよく噛んで食べることは、正常な口腔機能の発達と深い関係があります。 - 原始反射
-
うまれたばかりの赤ちゃんは、原始反射を持っています。たとえばモロー反射は、頭の位置が急に変わった時などに、びっくりしたように手を伸ばして縮める動作で、昔ヒトが赤ちゃんをかかえて移動していた時に、母親にしがみつくことができるためと言われています。
口に関連した原始反射では、「吸啜反射」:口に指などを入れるとチュッチュと吸う動きが出ます。「探索反射」:頬や口唇に物が当たるとその方向に顔を向ける動きで、目が見えていなくてもおっぱいを探すことができます。「咬反射」:歯がはえていない上下の顎の間に指を入れると咬んできます。
乳首をしごくためか、将来ものを噛むための動きか、異物をとらえるためか、はっきりわかっていません。この原始反射は成長して大脳が発達すると消えていき、自分の意志で動く随意運動に置き換わっていきます。 - 飲み込み
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乳児嚥下の動きと幼児から成人までの成熟した嚥下の動き(成人嚥下)は違いがあります。乳児嚥下は、口を大きく開けたま、口腔内の奥まで乳首を引き込み、舌を前後に動かすことで嚥下する動きです。鼻で呼吸しながら嚥下できます。
成人嚥下は、口唇を閉じ、咀嚼や舌の動きで食べ物を丸め、舌を口蓋に付けて、歯がかみ合った状態で物を飲み込む動きです。
誤った嚥下動作の例としては、唇が閉じていない、舌を突き出したり下顎を上に突き出したりして重力で食物を落とそうとする、などがあり、良くない動きです。 - おもちゃをなめる
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赤ちゃんは、しきりに自分の手やげんこつをしゃぶり、おもちゃを口に入れますね。これはとても大切な行為です。口の中は最初とても敏感で小さい刺激でも過度に反応してしまいます。この過敏性があると色々な形状の食物を食べることができません。
もちろん、歯ブラシなどはすごくイヤな刺激になりかねません。おもちゃや手しゃぶりは、過敏性をなくして口の感覚を慣れさせていく大切な経験なのです。歯みがきをはじめようとするころまでに、指で口の中を触ってあげるのも良い方法です。 - 手づかみで食べさせる
-
手づかみで食べさせたら、汚れちゃうし、食べものをまき散らされたらイヤだわ、と思っていませんか。手づかみで食べることによる学習効果は、口の中に入れる量をだんだん覚える、食物の色々な種類や形状を手から口へ移動させていき前歯でかじる動作と感触を経験する、食べる意欲を向上させる、などたくさんあります。まき散らしてしまうのは、ほんの一時期だけですので、やさしく見守って、手づかみ食べをさせてあげてください。
- プレスピーチ
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脳性麻痺をはじめ口の機能発達がうまくいかない子どもたちのしゃべるためのトレーニングに「プレスピーチ」という考え方があります。しゃべるための口腔機能を獲得するために、食べる練習をするのです。食べるために使う口の運動はしゃべるために必要不可欠なのです。
そして、食べ物は口腔機能を学習する、大切な教科書と言えます。正しい姿勢でしっかり口の機能を発揮することが、すこやかに育つために重要です。
- 食べることの障害
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食べることにまつわる障害はいろいろあります。小児期の口腔機能の発達不全の問題は、高齢者の口腔機能の衰えと、よく似ています。小児の口腔機能の正常発達をビデオの逆再生したのが高齢者の問題です。
たとえば、<誤嚥>飲み込んだとき、肺へ入ってしまうことです。むせないけれど肺に入っていることもあるので要注意です。
<過敏性>口唇や口の中にものが触れるとすごく不快に感じます。脱感作として、圧刺激を加えることがあります。<舌突出>舌の先を上あごに当てずに突き出してしまう動きです。<咬反射>歯のかみ合わせの面や犬歯に硬いものが当たると咬んでしまう動きです。歯ブラシやスプーン、歯の治療器具を咬んでしまいます。 - 口呼吸と鼻呼吸
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口呼吸は誤った動作で、サルをはじめ動物はみんな鼻で呼吸します。口で呼吸することは、アレルギーをはじめ全身の様々な不調につながることが多く、感染症の危険性も増します。口の中では、唾液が粘り、汚れがたまり、ムシ歯と歯周病が進行しやすくなります。口唇を閉じる筋肉は口輪筋といい、口唇の周りを輪のように囲んでついています。細いストローや風船、吹き戻し、「ビビデ・バビデ・ブ」と発音する、などで口輪筋の筋力をつけ筋肉の使い方を学習するのが有効です。舌を上あごにしっかりつけるのも大切です。「トトロ・トトロ・・・」と発音する、ノンシュガーのガムを上あごで平らにのばすなどが有効です。いつも紹介している「あいうべ体操」は必ず実行しましょう。
- ハイハイを十分にする
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ハイハイしている我が子が立ち上がって歩こうとすると、親はとても喜びます。それは当然なのですが、ちょっと待ってください。ハイハイは十分経験しましたか?ハイハイの姿勢は重い頭を重力に逆らって持ち上げ、背中をのばし、腕を前に出してはぐっと引き寄せ使います。口の周りからのど、後頭部の筋肉は、このときにきたえられるものなのです。それは、少し先で言葉をしゃべる時にも必要な基礎です。
幼稚園でしゃべりかたに少し問題がある子に、ハイハイ遊びの運動をさせるとしゃべりかたが上手になることが保育の専門家から報告されています。 - 筋肉が勝つ
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口腔機能は歯ならびに、著しく影響します。もっと言えば、口の周囲の筋肉つまり、口を開閉する筋肉・口唇・頬・舌・表情を作る筋肉などは、歯ならびを形作っていきます。正しく口を使うときれいな歯ならびになり、まちがった使い方は良くない歯ならびになります。せっかく矯正治療器具で歯を移動させて並べても、まちがった使い方をしていると歯ならびは乱れてきます。最近では、装置で歯を動かすだけではなく、装置で正しい口腔機能を獲得してもらい、正しい筋肉の動きで歯ならびを正しくしていく、という考え方の装置や、口腔機能訓練も活用しています。
- 姿勢と口腔機能を
体感してみよう -
口を動かすことと、姿勢は、一見無関係のように思えますね。ここで一つ実験してみましょう。下アゴが動かないようにアゴをテーブルに置くか、テーブルにひじをついてアゴを手のひらで支えます。そしてゆっくりと口をあけてみてください。さて、どこの筋肉に力が入ったでしょう?後頭部や首の後ろ側、あるいは背中まで、筋肉が働いているのがわかりますね。また厚い肉を片側で噛むと、首と肩の筋肉が縮む感じもしませんか? このことから、身体がゆがまないように左右均等に噛むことが大切だということや、「背中ぐにゃり」と噛む力の弱さの関連がわかりますね。
- 歯ならびと口腔機能
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片側を噛めなくした子犬
鼻がまがってしまう成長期に口の筋肉の動かし方が間違っていると、歯列とあごの正しい成長がさまたげられる危険性があります。たとえば狭窄歯列弓とは、横幅が狭い歯列のことです。イーとしたとき下顎の前歯が見えない深いかみ方は垂直的に狭くなります。下顎を後ろへ引きすぎ前方成長が少ない場合は前後的に狭くなります。口の中が狭いと舌がのどに落ち込み(舌根沈下)、いびき、呼吸障害、低酸素症、無呼吸症の原因になります。お口をポカンとしている場合も舌根沈下を起こします。高血圧、朝起きにくい、昼間ボーッとする、元気がない、夜間頻尿やおねしょがある、などの症状を引き起こすこともあります。
8020大切な合言葉ワンダフルフレーズ
- 8020の意義とは?
その実現に向けて -
8020(ハチマルニイマル)とは、80歳で20本以上歯を残そうという目標のことです。
平成元年に厚労省が提唱した当時は、お年寄りになると歯が抜けて少なくなるのは当たり前と思われていて、総入れ歯の人も珍しくはありませんでした。8020運動の甲斐あってか、2006年の調査では8020達成者の割合が25%、2011年には40%となりました。
それと呼応するように平均寿命ものびてきました。食べることは生きることです。いい歯は、いきいきとした豊かで活力に満ちた人生をおくる基礎といえることが、様々な場面で検証されてきました。8020のためには、ムシ歯と歯周病の2大口腔疾患を防ぐためのセルフケアとプロケアがとても大切です。8020のスタートは小児期からはじめましょう。林小児歯科では、マイナス1歳から高齢者までそれぞれのライフステージにそって皆さんとともに口の健康に取り組んでいきます。 - 健康寿命世界1
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有名な英医学雑誌ランセットに掲載された発表によれば、世界188カ国を調べた結果「健康寿命」は男女ともに日本が一番だったそうです。日本の健康寿命は、男性71.11歳、女性75.56歳。ところが平均寿命はおよそ男性80歳、女性86歳なので、健康寿命と平均寿命の差、約9年を不健康で過ごすことになります。これを短くして健康寿命をさらにのばすカギとなるのが、自分の歯をできるだけ多く残すことだと考えられます。
- 口は関所
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口は、食べ物が身体に入る最初の器官です。大きさ、味、硬さ、噛みごたえなどを確認しながら、食べ物を安全で効率よく栄養として身体に取り入れるために、大切な関所として働いて、全身の健康と直結しています。たくさんの研究でも、口の健康と長寿の関係が証明されています。日本人2万人の65歳以上の方を対象にした調査では20本以上歯が残っている人にくらべ、10~19本の人の死亡率は1.3倍、0~9本では1.7倍にのぼることがわかりました。また、福岡県の80歳以上の方、約1000人を12年間追跡調査した結果では、
咀嚼できる食品数が15品目中1品多いと4.4%寿命が延び、現在歯数が1本多いと1.5%寿命が延びるという結果が報告されています。 - 運動機能と咬み合わせ
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スポーツ選手は熱心に歯のケアをしている人が多いことが知られています。しっかり噛みしめるとより大きな力が発揮できるのです。さらに歯の咬み合わせは頭や腰の位置を安定させ、バランスをとりやすくする働きがあります。高齢者での調査では、よく噛めるかたほど食事・更衣・移動・排泄・入浴などさまざまな日常生活動作がスムーズにできるという結果が出ました。ご自分の歯が失われてしまった場合は、入れ歯で咬み合わせを回復することで、かなり日常生活動作の改善ができることもわかっています。また、乳幼児期は成長過程なので一生よく噛めるようになるための大切な準備期です。お口の健やかな成長発育を周りで支えていきましょう。
- バランス維持と転倒骨折の予防
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高齢になると運動機能が低下し、ちょっとしたことで転びやすくなります。転倒骨折で寝たきりになることも珍しくありません。噛みしめる力と転びやすさには関係が深いことがわかってきました。噛む時は、口の周りや顎の筋肉だけではなく、なんと首筋、胸、背中にある12種類もの筋肉が働いているのです。入れ歯を入れている時は、はずしている時よりも歩幅が広く、歩くのが速く、リズムも安定していることがわかっています。良い歯で活動的に過ごしていただきたいですね。
- 噛むことと脳
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8020は脳の健康と深い関係があります。噛まなくなると記憶をつかさどる脳の海馬という部分が萎縮することが、ネズミの実験と70歳以上の高齢者の検査で証明されました。脳の活性化を表す脳血流量の増加は、手や指の運動でよりも、咀嚼で増加し、また歯ごたえのある食べ物ほど効果的であることが分かっています。とくに、脳の神経の中の満腹中枢(肥満防止)、孤束核(味覚)、海馬(記憶)、扁桃体(嗅覚やストレスに関係)、室傍核(自律神経の中枢)などが活性化していることが確かめられています。さらに、唾液の中に脳が若返る成分がありますので、よく噛んで唾液を出していくことも大切です。
- 栄養摂取~低栄養から
寝たきりへのスパイラルを防ぐ -
私達のからだは食べたもので出来あがっています。さまざまな栄養のある食べ物を十分摂って健康なからだを維持するには、お口が健康でなければいけません。歯が悪くなると、咀嚼能力の低下→栄養素摂取量の低下→身体・精神機能の低下→活動量・体力の低下→生活の質の低下を招く、という悪循環に陥り易くなります。よく噛むことは胃腸の負担を軽くするためにも大切です。いろいろな噛みごたえの食物を咀嚼して食物本来の美味しさを味わってください。いきいきとして健康なからだを作るために歯を大切にして8020をめざしましょう。
- 誤嚥性肺炎予防~口腔ケアの威力
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誤嚥性肺炎とは、口腔内の唾液や細菌が誤って気道に入り込むことでおきる肺炎で、夜におこりやすくムセなどの自覚症状がありません。また嘔吐によりおこることもあります。食前・食後の口腔ケアと食事中の誤嚥防止が大切です。専門的口腔ケアを実施した場合は、しなかった場合に比べ、2年間の肺炎の発生率が40%減少し、口腔と咽頭の細菌数は5ヶ月で1/10に減少しました。また要介護者の、嚥下するまでの時間が口腔ケアによって短縮できることもわかりました。つまり歯ブラシは命を救うということで、介護予防にも有効だと注目されています。
- 8020と歯ならび
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歯ならびは、歯の寿命に影響するのでしょうか?答えは「イエス」です。80歳以上の高齢者の歯ならびと残存歯数の関係を調べた結果、予想以上 に関連がありました。80歳で20本以上の残存歯がある方の咬合状態の割合は、次の通りでした。
- 正常咬合56%
- 上顎前突44%
- 反対咬合0%
- 叢生(ガタガタ)0%
- その他の不正咬合0%
ただし、上顎前突に分類された方のうち、かなりの割合の方は咬み合わせのすり減りなどで、年齢とともに徐々に上顎前突になってきたもので、若いころは正常咬合だったことが予想されます。つまり歯ならびが良くないと、8020達成は困難だとわかりました。不正咬合で歯を失いやすいことには、ムシ歯や歯周病の罹りやすさ、咬合の荷重負担、口呼吸など、さまざまな要因が関係しています。
- 8020とイキイキ生活
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生活の質のことをQOL(quality of life)といいます。人生をおくるのに、健康であることはもちろん目標ですが、さらに、QOLが高いことはみんなが望むことでしょう。厚生労働科学研究で、残っている歯の数が多く、食べられる食品が多いほど、社会活動、人との交流、意欲などが活発であることが報告されています。日常生活の満足度と咀嚼能力とは関係が深いことも報告があります。そして高齢者の日常生活での楽しみについての各所でのアンケート結果は、「食べること」が必ず上位を占めています。寝たきりで全く表情のなかった高齢者に口腔ケアをしたところ、表情がもどって明るくなったという介護現場の声も、口の健康といきいき生活の関係を物語っています。健康寿命をのばしQOLを高めるために、8020をめざしていきましょう!
- 口が弱れば身体も弱る
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最近、滑舌がちょっと悪くなってきた、食べこぼし、飲み物にむせるなどが現れたら、見逃さないでください。それは、全身状態の悪化の前ぶれかもしれません。最近話題の全身の問題である、加齢性筋肉減弱症(サルコペニア)や運動器症候群(ロコモティブシンドローム)などと、歯・口の機能低下の関連が明らかになってきました。東京大高齢社会総合研究機構の飯島勝矢准教授らの研究で、「歯の本数」や「食べこぼし、むせ」「かむ力」「食事の量」など多くの項目が、全身の筋肉量や筋力の低下、運動機能の低下などと強く関連していることがわかりました。口の機能低下を「オーラル・フレイル」と呼ぶようになりましたが、これで全身の問題を予知し、バランスの良い食事と歯・口の定期的な管理をすることで予防していくことが、健康長寿につながるのです。
- 8020は小児から
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林小児歯科の標語は「健康な口は最高の贈り物」です。成人では、「健康な口は一生の宝物」としています。一生自分の歯をつかうためには、小児期がとても大切です。こどもと大人では、流れる時間の質がちがいます。こどもの1年はおとなの10年以上にも匹敵します。体重0.3Kg、身長40cmで産まれたあかちゃんは、1歳、小学校1年生、中学生で、いったい何倍に成長するか、おわかりですね。三つ子の魂百までも、といいますが、心身の成長、生活習慣、身体の動かし方、味覚の形成、呼吸のしかた等々、小児期はロケットが宇宙へ飛び立つ時にも似た重要な時期です。妊娠がわかった「マイナス1歳」から8020をめざして、こどもの口の健康を育てていきましょう。
噛むこと

パリパリ・ガリガリ・コリコリ・シャキシャキ・サクサク・シャリシャリ・プリプリ・フニャフニャ・モチモチ・トロトロ・プルプル・ツルツル・ヌルヌル・もっちり・ねっとり・とろーり・ふんわり、あまり良くなさそうなのは、ギシギシ・ザラザラ・ジョリジョリ・ガチガチ・グニャグニャ・ネチャネチャ・パサパサ、噛み砕いた時、耳に内側から聞こえてくる表現、歯や舌にからまる表現、よく日本語にはこんなに表現があるものだと思います。歯が無かったら、感じられる食感は、とても少なくなってしまいます。
噛むことの効用でみなさんがご存じなのは、消化、飲み込み、味わう、唾液を出し混ぜる、異物をのぞく(小石や骨など)、口の中をきれいにする、歯や歯肉をきたえる、などですね。
ほかには、脳を活性化する、認知症の予防、眠気を防ぐ、肥満、糖尿病などの生活習慣病をふせぐ、食中毒、アレルギーなどをふせぐ、姿勢をととのえる、こころの満足感を得る、口と口の周りの器官を成長発達させ機能を維持する、顔の表情筋を刺激して豊かな顔つきになる(しわもよりにくい)、安眠できる、まだあるかもしれません。こんなふうにたくさんの大切な効用があるのです。

それなのに、現代の食物の特徴は、やわらかく、噛まなくても味が濃く、栄養も豊富すぎるものが、食卓の大部分を占める傾向にあります。
1口を何回噛んでいるか、一度かぞえてみてはいかがでしょう。
思ったより少ないのでは?ハンバーガーは1口で5回以下がほとんどです。
ちなみに、昔の人は、
卑弥呼:3990
源頼朝(鎌倉時代):2654
徳川家康(江戸時代):1465
戦前:1420
現代人:620
と減少します。
食品の選び方、調理の仕方、食べかたなど、色々な場面で工夫してみましょう。
3倍かめば文殊の知(噛むことの効用)
- 消化しやすくする
- 飲み込みやすくする
- 味わう
- 唾液を良く出し、混ぜる
- 異物をのぞく(小石や骨など)
- 口の中をきれいにする
- 歯や歯肉をきたえる
- 脳を活性化する
- 認知症の予防
- 眠気を防ぐ
- 高次の精神活動にも影響
- 肥満、糖尿病などの生活習慣病をふせぐ
- 食中毒、アレルギーなどをふせぐ
- 姿勢をととのえる
- こころの満足感を得る
- 口と口の周りの器官を成長発達させ機能を維持する
- 顔の表情筋を刺激して豊かな顔つきになる(しわもよりにくい)
- 安眠できる
- 嚙むことと学習
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ネズミの実験で、固形食群と粉末食群で迷路を走らせ、学習能力に差が出るという報告がありましたが、最近は脳の研究がすすみ、咀嚼の効果も脳レベルで調べられるようになってきました。
不正咬合にしたネズミで、記憶をつかさどる海馬の働きが阻害されるという発表もあります。
つまり不正咬合が学習・記憶力にマイナスに働く可能性を示しています。 - 嚙むことと脳
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8020は脳の健康と深い関係があります。噛まなくなると記憶をつかさどる脳の海馬という部分が萎縮することが、ネズミの実験と70歳以上の高齢者の検査で証明されました。
脳の活性化を表す脳血流量の増加は、手や指の運動でよりも、咀嚼で増加し、また歯ごたえのある食べ物ほど効果的であることが分かっています。- 水平に寝た状態
- 30度起こした
- 60度起こした
- 座った姿勢
で調べたところ、座位が最も血流が多く、寝た状態が最も少なかったのです。
つまり、姿勢を良くしてしっかり噛むことが、脳の状態を良くするために大切だということがわかりました。 - 嚙むことと脳のリハビリ
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奥歯を削ったお年寄りネズミの学習・記憶力を測定したところ、健康な歯を持つお年寄りネズミに比べて、記憶力が5分の1ほど低下したそうです。さらに、治療してよく噛めるようにしたところ、学習・記憶力が日ごとに回復したというのです。
また人間の脳のMRI検査でも、歯が少ない方ほど記憶や計算、思考を司る重要な場所の容積が少ないことが分かっています。
- 嚙むこととストレス解消
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不快ストレスがかかると脳では、前頭前野や扁桃体の反応が大きくなります。さらに記憶をつかさどる海馬と扁桃体との間のやりとりが活発化するため不快感が激しい出来事ほど記憶に残りやすくなってしまいます。よく噛む運動は、脳内にセロトニンの分泌を増やし、前頭前野、海馬、扁桃体の活動をコントロールし、ストレスを感じにくくすると同時にストレス物質の分泌も抑制します。ストレスによる記憶力低下やPTSD(心的外傷後ストレス障害)を防ぐのにも効果的だといわれています。
- 噛むことと運動能力
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スポーツをする場合、かみ合わせの良し悪しが、意外に大きく影響してきます。健康な歯でかみ合わせた接触面積を100%とすると、奥歯8本にムシ歯がある場合、面積は約30%、かむ力は3分の1に低下してしまいます。中学生をかみ合わせが、良い・普通・悪いの3グループに分けて調査すると、握力、背筋力、50m走、ハンドボール投げ、反復横とびなど多くの運動テストの成績に差があることがわかりました。
かみ合わせの良いグループと悪いグループでは50m走で0.3秒、走り幅跳びで25cm、ハンドボール投げで2mもの差がつきました。健康な歯、良い歯ならびは大切ですね。 - よく噛んで表情筋を動かそう
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表情筋は、顔を動かすのに必要な筋肉です。顔には30以上もの筋肉があるといわれており、顔の表情を作ります。身体についている筋肉は、骨と骨をつないでいます。しかし表情筋は骨と皮膚をつないでいるため表情を変化させることができるのです。喜怒哀楽がなく、無表情だと、表情筋を使わないので、顔のたるみが起こりやすく、老けてみえる恐れがあります。言葉をしゃべるとき、言語によって表情筋の動きに大きな差があります。ドイツ語が80%、英語が60%なのに対し、日本語は約20%しか使えていないので、ますます表情筋が使われないことになります。ものを噛んで食べるとき、咀嚼筋だけでなく、表情筋もよく働きます。
アンチエイジングのためにも、よく噛んで食べることは大切なのです。 - 噛むことで肥満予防
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早食いの人はBMIが高い、つまり肥満傾向の人が多いことがわかっています。早食いだと、満腹中枢を制御するホルモンの分泌や血糖値の上昇を感知して身体が出す、「そろそろ食べるのをやめよう」の指令がでるまでにたくさん食べてしまうのです。
よく噛んで食べると、満腹中枢を適切にコントロールでき、メタボの原因である内臓脂肪を減らせるるのと、たくさん食べなくても満足感がえられやすいため、肥満予防に効果的なのです。ぜひ実行してください。 - 噛むことと安眠
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咀嚼と安眠について興味深い研究があります。よく噛むと、安眠できることがわかりました。咀嚼によって生じた口腔感覚が三叉神経の核に伝えられ、脳の後部視床下部という場所から睡眠に良い変化を及ぼす物質が分泌されるそうです。
ほかに、体温調節、生活リズム形成によく噛むことが有効であることも、同じく脳のレベルで研究され報告されています。夕食を早食いせずによく噛んで食べたほうが、ぐっすり眠るためにも大切なようです。 - 噛む健康法
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約100年前、アメリカ合衆国マサチューセッツ州のホーレス・フレッチャーさんは、『噛む健康法』を考え出し、30Kgもの減量に成功しました。お金持ちだった彼は、当時毎日3食フルコース、デザートもたっぷりの食生活をしていました。いつしか、見た目は青白く、ぶよぶよに太り、運動機能の衰え、気分の悪さ、食欲、気力のなさなどに支配されていました。40歳で171cmの身長で、100Kgの体重になっていました。そんなある日、ある家族の食事風景を見ました。質素でしたが、家族4人で楽しげに一品ごとしっかり噛んで味わって食事をしていました。これだ!フレッチャーさんは、その日からよく噛んで味わう食べかたを実行してみました。彼はみるみるスリムになったばかりでなく、筋力、運動能力などすべてにおいて、当時ではとても考えられないほどの成績を出せるようになりました。
彼はその噛む健康法を「本当の食べ方12条」という論文としてまとめました。「本当におなかがすいた時に食事をとり、なんでも良く噛み、唾液とよく混ぜ、食べることを一心に楽しむ。汁物、液体を途中で飲まない。」など、現在の私達が大切にしたい教えがたくさん書かれています。




