耳寄り情報
腸内細菌
腸はヒトの免疫の重要な役目を担っていることがわかってきました。口腔内細菌との関係もだんだん明らかになってきています。
健康の入り口である口がしっかり働いて腸が健康になります。口と腸がうまく働くことは、健康へのパスポートです。口と腸に良い生活をしてください。それはまさに良い腸内細菌がよろこぶ生活です。
ニンゲンのウンチのつくりかた
食べたものは、ふつう丸一日かかって、口からおしりの穴まで約10メートルを旅して、めでたくウンチとなります。
食べ物を口で噛み砕き、胃でドロドロにし、腸で養分と水分を抜きとり、色やニオイをつけ、他の不要物を混ぜてウンチのできあがりです。
では、なにも食べなかったらウンチは出ないのでしょうか?答えはノー。食べかすはウンチの5%にすぎません。腸にすんでいる細菌の死がいが15~20%、水分が60%、胃腸から新陳代謝で入れ替わった古い細胞が15%くらいです。
肉食が多いと少量で(便秘になりやすい)臭いのきついウンチ、食物繊維と炭水化物が多いと臭いの少ない立派なバナナウンチがつくれます。

口が健康でないと
腸内環境は口の汚れのせいで、乱れます。最強の歯周病菌P.ジンジバリスは強力な胃酸をくぐりぬけ腸まで到達できるのです。P.ジンジバリスを人口胃液に2時間ひたしても、その7割は生き残っています。
そして腸のフローラを乱し、腸のバリア機能を低下させてしまいます。
そのせいで色々な有害物質や過剰な糖類が身体に入りこんでしまうのです。

あかちゃんの腸内フローラ
あかちゃんの良好な腸内フローラは、成長ホルモンの産生調節のはたらきがあり、成長に重要です。
さらにセロトニンなど多くの神経伝達物質の産生調節のはたらきで脳の発達にも無くてはならない役目をもっています。
この時期に腸内フローラに異常が起きると身体の成長と脳の成長に悪影響があります。
母乳にはあかちゃんの腸内フローラに3つの良い影響があります。

- 母乳中にはビフィズス菌など良い生菌が入っている
- 母乳中のオリゴ糖が、ビフィズス菌など特定の良い菌をふやす。
- 母乳中の免疫IgAは乳腺でつくられ、病原性細菌がふえるのをを防ぐ
腸内フローラの乱れ(ディスバイオーシス)
ディスバイオーシスがおこると、腸機能が弱って感染しやすくなる、免疫異常でアレルギーが出る、脳の成熟が遅れる、ホルモン異常などさまざまなリスクがあがります。
高脂肪食と砂糖の食べ過ぎは、ディスバイオーシスをおこしやすくなります。妊娠中に高脂肪食を多く食べたお母さんから生まれた生後4~6週の赤ちゃんでディスバイオーシスが観察され、他にも多くの報告があります。
マウスの実験では高脂肪食で飼育した母マウスの仔でロイテリ菌が減少し自閉的な社会行動異常が観察されました。

砂糖は口と腸の両方のフローラに悪影響
砂糖を食べ過ぎると、腸内でも砂糖で増える有害な菌がふえる一方、良い細菌をへらしてしまいます。
腸の壁のバリア機能が弱くなり、食べ物が未消化のまま身体に吸収されたり、有害な物質が侵入したりする恐れがあります。これが炎症やアレルギーなどの免疫システムの異常の原因になります。
腹痛、膨満感、下痢や便秘などの消化器症状もおこりやすくなります。
思春期に砂糖をとりすぎたことが若年発症の大腸がんリスクをあげるという疫学調査も報告されています。

3歳までが大切
最近の子供たちに腸内細菌は種類が少なくなってきたそうです。たくさんの種類がいるほど、いろいろな外敵の侵入やトラブルに対処しやすいと言われています。
外遊びの機会が減ったことや環境の変化が原因で、腸内細菌が減ってきたのは問題です。おなかにどんな細菌がすみつくかは、3歳までに決まります。
清潔ばかりにこだわった生活より、色々な体験ができる機会をもたせたいものです。

もう遅い?いや大丈夫 善玉菌を増やす
腸内細菌の種類が3歳までにきまってしまうとしたら、3歳をすぎたらどうすればよいのでしょうか?
種類は増えませんが、数は増やせます。悪玉菌が減らせて、善玉菌が増えると、大部分を占める日和見菌は善玉菌の味方をするようになります。
善玉菌が喜ぶような生活をしましょう。生活を規則正しくし、睡眠をとり、ストレスを減らすことも重要です。

腸内細菌の多様性とがん治療との関係
腸内細菌は、がん治療の効果に影響することを示す研究が2つ報告されました。腸内細菌は様々な種類が棲んでいますが、多様性が乏しいとがん治療の効果が低くなってしまうというのです。つまり腸内細菌の多様性あるいは特定の腸内細菌が、がん治療に良い働きをしていると考えられます。がんに限らず、様々な疾患で、腸内細菌の多様性が重要であるという研究発表がたくさん出てきています。

腸内の善玉菌が喜ぶ食事
善玉菌が喜ぶ食品は、発酵食品(ヨーグルト・納豆・味噌・チーズなど)食物繊維(野菜・果物・きのこ・海藻類・玄米など)オリゴ糖(玉ねぎ・にんにく・バナナ・アスパラ・大豆など)です。
逆に悪玉菌が喜ぶのは、揚げ物、スナック菓子、インスタント食品をはじめとする加工食品や動物性脂肪を多く含む食品です。
1日1.5〜2Lを目安に水やお茶を飲むのも大切です。

